つよし関連ss。ていうか殆どが日記で書いたssログだけど。
気が向いたら加筆修正。上に増えていきます。
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 弟がいなくなってから、随分と経った。たった一ヵ月ですら、長いときのように感じた。
 タローが、明日は七夕だと言っていた。俺は正直、興味もなかった。
 しかし有名な七夕の物語といえば、引き離された二人の恋人がその日だけ、天の川を渡り、逢うことを許された日。
 能天気な幼なじみの勧めもあり、俺ば短冊を手に取った。
『弟に逢いたい』
 そう書かれた短冊を、笹の葉に吊した。叶えられない願いだと解っていても、こう書いた。
 叶えば、いいのに。

 七夕の当日は、朝から雨だった。
 俺は少し……いや、少しだけではないが、期待していた。しかしこの、雨という結果に、何もかもから裏切られた気分になった。
 何もかもが億劫になって、学校から帰ってきた後、すぐに布団に潜り込んだ。
 雨の音が煩い。
 煩い。
『……おにーちゃん』
 何だ、今度は幻聴か? 雨の音に混じって、弟の声まで聞こえてきた。
『ねぇ、お兄ちゃん……』
 ゆさゆさと揺さぶられる感覚に、親が起こしに来たのかと顔を上げた。
「……?! な、なんで……?」
「お兄ちゃん、あのね……来ちゃったっ」
 俺を呼んでいたのは、ニコニコと笑みを浮かべながら枕元にしゃがみ込んでいたのは、俺の、大切な、大切な、弟。
 雨の日に逝ってしまった、弟。
「な、何でお前、こんな所に……事故で、そう、事故で……」
「お兄ちゃんが呼んだんじゃない」
 そう言って差し出すのは、俺が精一杯綺麗な字で書いた、オレンジ色の短冊。
「今日だけ、許してもらったの」
 誰に、とは聞かない。いや、聞けなかった。
「……泣かないでよ、ねぇ、お兄ちゃん」
 涙でぼやけた視界に入ってきたのは、困ったような弟の笑みと、すっかり晴れ渡った、満天の星空だった。

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2006/07/07_もう一度逢うことが出来たら、もう二度と離したりはしない。

 ひとつになりたいと 願ったのは 俺(僕)達なのに
 ひとつになれば ずっと一緒だと 思ったのに
 ひとつの身体で 二人の気持ちを分け合えると 思ったのに
 ひとつになったら 触れ合うことが 出来なくなった

 ひとつの心じゃ 二人の痛みは 大きすぎた

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2005/12/04_融合することのメリットとデメリット。