※注意!両者2P設定でDが関西弁だよ。



独占欲





 僕の目の前のソファにだらしなく倒れこみ、すやすやと寝息を立てている彼は、とても綺麗。
 あぁ、勿論、僕には劣るけどね。
 けど、本当に綺麗。染めているのに、髪はツヤツヤでサラサラ。おまけに長いから、風に靡くとキラキラと輝くの。肌なんか僕と同じくらい白くて、まるで陶器のよう。
 本当に綺麗。彼のすべてが、僕のものになってしまえばいいのに。そう思いながら彼の髪を梳いていると、ピクリと彼が身じろぎをした。
「……ナルちゃん? なんやもう、風呂、上がったんか……?」
 起きたのか、彼は欠伸をしながら、のろのろと立ち上がろうとした。しかし僕はそんな彼の身体を跨ぎ、動きを封じた。
「動かないでよ」
「せやかて、風呂入りたいんやけど」
「必要ないよ」
 首元に顔を埋めて、彼の首を甘く食(は)んだ。ライブの後の彼の身体は汗ばんでいて、鼻を近づけると彼の匂いが広がった。
 男の匂いを嗅ぐと、とても興奮する。
「……ナルちゃん、どないしたん?」
 不意に彼が、僕の髪を撫でた。その手が背中や肩に触れる度に、バスローブ越しだというのに、僕の身体は疼いていた。
 彼が、欲しい。
「君に欲情してるの」
 顔を上げ、彼の目を見つめながら思ったままを口にすれば、彼はぽかんと口を開け、それから笑った。彼の、歯を見せて笑う姿がとても好きだった。
「ナルちゃんは直接的やなぁ」
「君は、そんな僕だから好きなんでしょ?」
 唇が触れるか触れないかくらいまで顔を近づけて言えば、彼は僕の唇をペロリと舐めて、甘く食んだ。
「あぁ、大好きや。愛しとる」
 僕はその言葉に満足すると、バスローブを脱ぎ捨て、彼を誘った。あぁ、彼に脱がせて貰うのもよかったかも。
「ねぇ虎ちゃん、僕が踊るのはベッドの上だけだからね?」
「わぁっとるわナルちゃん。もう何年のつき合いやと思っとんねや」
 そう言って、彼は僕を抱き上げた。僕は彼の、華奢に見えて逞しい腕に身を任せ、厚い胸板に頬を寄せた。耳を澄ませば、トクトクと鼓動が聞こえた。
「……君は誰にも渡さないから」
 彼に聞こえないようにと小さく呟いたのに、どうやら聞こえていたみたいで、彼はニッと笑った。
「当たり前やろ。俺は疾うの昔に、ナルちゃんのモンや」
 近づく顔と、触れる唇。彼を独り占めしながら、僕は笑った。


結局描写が面倒で最後まではいかない。(何だそれ)

2006/08/18